陶芸教室は、自分の作品が焼き上がって受け取るまでに時間がかかります。
1ヶ月以内に焼き上がったら非常に早い方です。
「せっかく作ったんだから早くもらいたい」
「なるべく早くしてください」
「早くしろ!」「急げ!」
と言いたい気持ちはわかります。待ち遠しいものです。
でも気持ちはわかりますが宅配便の荷物や、レストランの料理とは違いなかなか急ぐことはできません。
陶芸は、なぜあんなに時間がかかるのか紹介します。
陶芸はあわてて粘土を乾燥させても成功しません
なぜ時間がかかるのでしょうか?
包装や手続きに時間がかかるわけではありません。
理由は粘土の性質にあります。
やわらかい粘土は乾燥して固くなります。
常温の室内では、乾燥スピードはゆっくりです。
屋外で天日干しにすると、一気に乾燥します。風も当たり、さらに乾燥しやすくなります。
粘土の種類にもよりますが、いきなり天日干しにすると大きくゆがみます。
また、ヒビの原因となります。
一部分が急激に乾燥することで起こる現象です。
削ったものは、ある程度乾燥が進んでから天日干しにします。
コーヒーカップの「取っ手」をくっつけてすぐに乾燥させると、折れやすいです。
粘土の表面が白くなったからといって、中まで乾燥しきっているわけではありません。
素焼きをするまでの順番
1日目:粘土で形を作る
2日目:削る
3日目:1週間以上乾燥させる
焼くまでに1週間以上かかります。
夏は気温が高いので、乾燥が早く数時間後には削れます。
反対に冬はなかなか乾燥しません。
乾燥だけで2週間とれば安心。
作品の厚みが厚いほど乾燥スピードはゆっくりです。
しっかりと乾燥させるところは、ハンドメイドのオーブン粘土(石塑粘土・せきそねんど)と同じですね。
天候にも左右されます。
例えば高台を削るとき。
雨の日は湿度が高く二日目になっても、作品はベタベタしています。
急いで焼成すると失敗する
私はガス窯で焼成しています。
はじめに素焼きをしてから釉薬をつけて本焼き。
素焼きも本焼きも、温度上昇はゆっくりと。1時間に100°cの速さです。グラフに時間と温度を記録していきます。
素焼きには、8時間ほど時間をかけましょうというのが割れないコツですが、それだけではありません。
0度から800度のうち、温度をゆっくりと上げないといけない箇所があります。
注意するのは300度くらいまでです。始めは、ゆっくりと上げます。といってもスタートして10分くらいで100度超えますが、気にしません。実際の窯の温度は、温度計よりも100度くらい低い低いものです。
素焼きの温度は600度でじゅうぶんですが、窯の中をまんべんなく600度以上にするために800度以上に上げています。
また、600度になる前の温度で粘土が一番膨らむ状態になります。ここもゆっくりと。
なかなか思い通りに温度が上がらないと焦ってしまうものですが、落ち着いてやりましょう。
温度を上げるには、ガスバーナーの火を増やしたり空気やガスを調節します。
ここで温度を急いで上げてしまうと、中の作品が割れます。
粘土の性質で、熱で急激に膨らむ温度があるからです。
無理をするとヒビに原因になります。
焼いているときはガス窯のレンガが熱で膨らんで、「ゴッ」という重い音が聞こえることがあります。
レンガが割れてヒビが入るのは普通です。
「焼くと必ずヒビが入りますが問題ありません」
窯を購入したときに、しっかりと説明されました。
「レンガじゃなくて作品が割れたかな?」と慣れるまでヒヤヒヤさせられます。
購入するまえから知っていましたが、音には驚かされました。
窯がデカイほど時間がかかる
窯はデカイです。
窯の中は家庭用冷蔵庫数個分の広さ。
焼くためには、中に作品をある程度詰める必要があります。
スカスカだと炎の動きにかたよりがでます。焼け方にムラができて、失敗することも。
スカスカでも、満載でも光熱費は同じです。焼く時間も同じ。
わざわざ一個だけを焼くという贅沢焼きはできません。
大きな窯元だと毎週焼くところもあるようです。
そんな所は、窯がいくつかあったり。
私は頻繁に焼くことができません。
陶芸教室に興味のある方は「どれくらい待てば受け取れるのか?」を調べることをオススメします。
陶工房手嶋の陶芸体験では、4.5ヶ月くらいかかります。もしくはそれ以上。
もし割れたときには、作り直して頂くか私が似たような感じで用意しますね。
いろいろなことに言えますが、焦ってもいい結果にはなりません。