
粉のようなやわらかな白い雰囲気が出せる白化粧。白化粧を掛けた作品は粉引(こひき)。
粉引の器は使いこむごとに雰囲気のよくなる器です。
粉引きの白色は粉をふいたような白さであり、ただの白い釉薬を掛けただけでは作ることができません。
他の陶器に比べると変化がわかりやすくエイジングを楽しめるというメリットがあります。
デメリットはフチが欠けやすいこと。
でもあまりに欠けやすくてもろい器は失敗作です。粘土、化粧の調合、乾燥具合、焼く温度がおかしいことが原因。
うちの場合、ガス窯で1230℃以上に上げたらフチが割れました。嘉麻粘土9割のブレンド土。
1210℃まで上げて時間をかけ、ゼーゲルコーンSK−7が倒れるまで焼成したらよさそう。
白化粧は簡単にいうと磁器の土を水に溶かしたものです。
重要文化財である粉引茶碗を目指して作陶するのもいいでしょう。
白化粧の使い方と調合方法を紹介します。
陶芸のプロが教える白化粧の使い方・調合する方法
白化粧のタタラ小皿の作り方

粘土を菊練りしたものです。白化粧には、焼いた後に黒くなる粘土を使います。
鉄分の多い粘土です。
見た目が黄色や茶色っぽい粘土とか、赤土と呼ばれるものがいいでしょう。逆にグレイ系は焼くと白くなる粘土。
鉄分の多い粘土を使う理由は、白化粧の白を素地の黒によって引きたてるためです。
逆に白い粘土に白化粧を使うこともあります。

小さなお皿を作るので適当に400g用意しました。

机の上に置いた粘土をバンバン叩いて広げます。たまに裏返して、叩きましょう。

十字の形にラインをひきました。
白化粧は、こういった角ばった形にオススメです。
面取りや、鎬(しのぎ)の器にも合います。

面取マグ。弓で削り取ってます。

ナイフよりも弓の方がカットしやすいです。
はじめに大ざっぱにカットしてから、細かく調節しましょう。

まった平らだと中身がこぼれるため、型でカーブをつけています。
手で曲げてもいいです。この場合、一気に曲げるとヒビの原因になるので、ジワジワと少しずつ。
ここで無理をしていると、白化粧をつけたあとに割れます。

フチが欠けないように手でなでています。
シンプルすぎたので陶印で飾りをつけました。

白化粧をよくかき混ぜてからはじめましょう。
素手でやってますので指のアトがつきますが、いい味に!
わざと素地を残すようにすると、白と黒のコントラストがハッキリとして美しくなります。
焼いた後は、白化粧が濃いと白、薄いと黒や灰色っぽくなりますね。
白化粧を掛けるタイミングですが、粘土が削れる状態まで乾いたらOK。
粘土は生の状態。素焼き後に化粧掛けするよりも成功しやすい方法です。
このときにあまり薄い作品だと白化粧を掛けたあとグシャーッと崩れます。
白化粧は素地にのっている状態なので、焼いた後も欠けやすいです。
欠けにくくする工夫として口やカドの白化粧をぬぐっておくといいでしょう。
あまりキレイに拭き取るとわざとらしくなるので、ヒシャクの底でかるくなでる程度。白化粧を掛けたあと、したたり落ちているうちに素早く行いましょう。

クリームを掛けたような感じに。
白化粧がニュルニュルで滑り落とすこともあります。2つ目の化粧掛けをするときは、忘れずに手を拭いておきましょう。
このときしばらくドライヤー、扇風機で風を当てて乾燥させると上手く行きます。
素焼きして透明釉を掛けて本焼き。絵付けも可能です。

レンコンの箸置きもつくりました。

次は白化粧を筆で塗ります。さっきよりも水分が少な目で、濃いめの白化粧。
筆や刷毛を使うときは濃いめにしましょう。うすいと流れ落ちます。

ムラは気にしない。
塗るというよりもポンポンと置いていく感じです。
水彩絵の具のように無理に引き伸ばすと、色が薄くなりすぎてわからなくなります。


しばらくして天日干しにしたら大きなヒビが!
曲げたときに無理してたようですね。

赤土に白化粧を塗ったマグカップです。焼いた後はこんな感じ。
還元で焼くと、所どころオレンジ色に。
この色を出したい場合は、透明釉を掛けた後に針で小さな穴を開けましょう。
ガスが抜けてオレンジ色になります。御本(ごほん)と呼ばれます。

白化粧をもっと柔らかな質感にするならキリフキがオススメ。
息を吹き掛けるタイプを使っていましたが、酸欠で倒れそうになるためポンプ式キリフキを買いました。
持ち手をつかんでシャコシャコやるだけでブフォァッと吹き出すので楽! 釉掛けにも。
でも、大きな作品の場合は素直にコンプレッサーを使いましょう。
粉引の器に絵付けしよう

白化粧を掛けた表面は白いため、絵付けが可能です。
白一色でシンプルにするだけでなく、オリジナルデザインも試してみましょう。
また、織部釉などの色釉をかけてもOK!下地が白だと色が映えます。
赤土の調節方法
白化粧にひつような赤土。
使いやすい荒めのなみこし粘土や、志野土、信楽土に慣れていると使いにくく感じることがあります。
例えば、硬くて練りにくかったり作っているときにヒビが入ったり。
そんなときは、赤土に使いやすい粘土を混ぜましょう。2割くらいなら白土を混ぜても見た目はあまりかわりません。
シャモット、童仙房、蛙目粘土、木節粘土を混ぜてお好みで。
粒の大きさ調節は、ハンマーやミルで砕いたり、篩に通したり。
土をさらに黒くしたいなら、鉄分を増やしたりコバルトを足したりします。鉄絵の材料をまぜるなど。
真っ黒な黒泥はコバルト入りです。
雲母を混ぜると御影土のように、黒い点々がでますがあまりに多いと騒がしすぎるデザインに。
白化粧の調合方法
白化粧の元は磁器土なので、磁器土を水で溶いたものを塗ってもいいでしょう。
他にも、白っぽい粘土を塗れば化粧になります。
白化粧シャバシャバで水分が多いと素地がすぐに割れました。厚めに掛けたい。
私の使っている白化粧の調合(単位は%) 生掛け用
うまくいかないときは、蛙目粘土を増やしたり木節粘土、長石を足して試してみましょう。
カオリン60
蛙目粘土30
天草陶石10
素焼き用
長石60
カオリン20
天草陶石20
このとおりに量って混ぜれば化粧土のできあがりです。ダマが出るのでフルイに数回通しましょう。(60番から80番くらい)
粒をあまりに細かくすると失敗の原因に。
化粧土はフルイの目をスムーズに通らないので、ゴムベラでこすると楽です。
少量なら乳鉢でどうぞ。水分を調節して使いましょう。
カオリン60g、蛙目粘土30g、天草陶石10gの場合、合計100gになります。
素焼き用の調合は、材料の割合が少し違ってきます。
蛙目粘土100%で調合したら少しヒビの入る白化粧になりました。(使うのに支障のない程度のヒビ)
天草陶石100%でも白化粧になるそうですが、うちの粘土には合いませんでした。単身使用は不安。

蝋石、陶石を多め、蛙目粘土少々で生掛けはダメでした。
乾燥したあとにフチが欠けた。
調合が面倒なら調合済みの白絵土(しらえど、しらえつち)をつかうと楽です。
水で溶かせば使えます。
大量なら樽に水を入れて、その中に白絵土粉末をドシャーっと落としてしばらくそのまま。その後かき混ぜ。
白化粧がサラサラしすぎて使いにくい場合は、フノリ(海藻)や洗濯のりを少量入れて粘りを強くしましょう。
黒化粧がほしいなら白化粧に鉄などを10~20%くらい追加しましょう。うすいと茶色っぽくなります。
鉄は鬼板や弁柄ですね。
青化粧ならコバルトを数%追加。
昔の陶芸の本に全部くわしく載っています。
安く原料を手に入れて、オリジナル白化粧を作りたいなら必須。無駄な失敗が減ります。
釉薬系市販品を少量買うと、とにかく値段が高い!!!!!!!!!!!!
刷毛塗りの茶碗にするなら刷毛をどうぞ。
ほうきとか稲藁を使えば荒めの表情になります。
白化粧は硬めがオススメ。
素焼きした粉引きの掻き落とし跡をキレイにする方法

画像は作った器に白化粧を塗った花瓶です。
その後、針で引っ掻いて素焼きをしました。
引っ掻きあとにバリがくっついています。
本焼き後にバリとりをすると非常に硬くなっており、大変です!

紙ヤスリ(100番くらい)で軽く磨きます。
コンプレッサーでホコリを吹き飛ばせば釉薬掛けも安心ですね!
エイジングを楽しむ粉引の器


粉引きに合う面取りと鎬(しのぎ)。
面取りはナイフ、鎬は輪カンナで削りました。失敗するとすぐに穴があきます。
鎬は溝同士のすき間が大きいと嫌なのでなるべくビッシリ彫っています。
白化粧を掛けた器は口が欠けやすい。茶渋はすぐ染み込む!
そんなデメリットのある粉引の器ですが、磁器とはちがう「白さ」は独特な魅力があります。
個人的なことですが私は米の汁で「目止め」は基本的にやりません。カビの原因になるからです。
そもそも止めてしまったらせっかくの変化が出せなくなります。
同じ理由で水漏れ防止剤もちょっと……使うのに戸惑いますね。
欠けた器も慣れれば、愛着のわくものです。
神経質な人には向かない粉引。
もっとエイジングを楽しみましょう!
金継ぎで器を長く楽しむ
金継ぎにもぴったりな粉引きの器。最近は金継ぎ教室が人気らしいですね!
金継ぎは、純金と漆を使うと高価です。
安価で手に入りやすいエポキシパテや合成うるしで代用もできますが、食器には向きません!
長く使うのなら昔ながらの本漆をオススメします。
白化粧ととっても相性のいい面取りの紹介です!
【手びねり電動ロクロ】陶芸のプロが教える面取りぐいのみの作り方












