危険な100均の食器

100円均一の安い食器は、手軽に買えて便利。でも、気になるのが安全性ですね。

陶芸をやっていると、けっこう危険な金属を材料に使っていることがわかります。

危険な金属のひとつがです。元素記号はPb。

 

鉛は、釉薬を低い温度でよく溶かすというメリットがあり、安い器に使用されています。

食器に鉛入りなんて表示はされていません

身近なものでは、釣りのオモリです。やわらかいので、手で簡単に変形します。

他には、無鉛じゃないハンダ蓄電池銃弾放射線を防ぐ壁など。

おしろい印鑑の朱肉も鉛でした。

 

正しく使えば、便利な鉛ですが……。

危険な鉛中毒にならないために、100均の食器の安全性について紹介します。

 

【集客したい事業者様向けに食器制作】お客を逃がす器で料理を提供してはいませんか?

 

100均の食器が安い理由

私が陶器を100円で売ると、商売が成り立ちません。器ひとつ比べても、価格は20倍くらい差があります。

 

ごはん茶碗ひとつの価格

100均ショップの110円 と 当工房の2,200円

たまに「ねだん高っ!」と言われますね。「そうですねー」と、笑って返してますけど。

 

お客様にとっては、一つの商品にいくらお金をかけて作ったなんて関係ない!

これが当たり前です。

 

器を作るためには材料である粘土、釉薬の材料である金属、焼くための光熱費がかかります。その他にも人件費とかいろいろ。

大量に仕入れて、大量に作って、大量に売ることができれば安い価格でいけそうですが、実際はそんなに簡単にはいきません。コストばかり膨らんでいずれ廃業。

 

人件費を安くするためには、中国などの海外で製造しないといけません。

すべての工程を国産にすれば、驚くほどお金がかかります。

いわゆる安い悪いといわれる中国産ですね。

 

 

食べ物を買うとしたら、国産と海外産のどちらを選んでいますか?

あなたが買い物に行ったとします。

国産と海外産の商品が売っていたとして、どちらを選ぶか」を思い出してみればわかるでしょう。

国産は高いです。米、魚、牛肉、とり肉、ニンニク、レモン、バナナ、納豆、調味料、お菓子。

関係ないように思えますが、食べ物食器も同じです。

 

それに加えて、偽装事件も後を絶ちません。

疲れ顔メイクで臨む犯罪者の謝罪会見なんてただのパフォーマンスに見えます。

もうなにを信用したらいいのか、わかりません。

 

 

ほんとにあった中国製の鉛土鍋事件

以前、中国製の土鍋から鉛が溶け出したというニュースがありました。ありえないほど安い価格の土鍋。

土鍋を火にかけていたところ本体と、フタのあいだから銀色の液体が大量に溶けだしたという内容です。鉛鍋料理とか気味が悪いですね。

こんなものが体内に入れば、きっと鉛中毒になるでしょう。販売する前に検査していなかったんですかね。

 

鉛は主に表面をコーティングする釉薬に使われますが、粘土が汚染されている場合もあります。

また、土だけではなく川や海も汚染の影響があり、魚や水として人の身体に取り込まれる危険があります。

 

大きなお店でよく見かける安い土鍋は、中国製とみて間違いありません。

大きさにもよりますが、2,000円〜3,000円以下の土鍋は避けるべきです。作家モノだと1万円以上が相場。高いですが、使い捨てじゃありませんし。

わからないときは価格をみて判断しましょう。

 

余談ですが、2020年12月に足を拭くバスマットの珪藻土に、アスベストが含まれている事件が起こりました! 肺がんの原因になるアスベスト!

製造は何年も前のようですね。

このように現在も似たような事件は多発しています。怖い。ウチにも似たようなバスマットがあり、心配になりました。

 

製造者が鉛を使うメリットと危険な鉛中毒

器の釉薬を低い温度で溶かす鉛。

温度が低いということは、それだけ光熱費を節約できます。それから、わざと焼く温度を下げることによっての節約もできます。

焼く温度が低ければ、器を使うときに鉛が溶け出すリスクが高くなります。

 

割れた陶器の内側、芯の部分だけが黒っぽい色なら短時間もしくは低い温度で焼かれた証拠。

耐久性も問題

 

安く作れば作るほど、製造者は儲けます! 安くすりゃたくさん売れる!

器を使う人間の健康なんて考えていません!

 

 

鉛入り食器を使った人にはメリットはありません

逆に鉛中毒という、最悪な病気になるリスクがあります。

 

釣りをしているときに鉛でできたオモリを素手でつかんで「やわらかーい」なんていいつつ、その手をナメてはいけません。

 

最近、シカイノシシなどのジビエ料理がテレビで紹介されることもあります。食べた経験ありますが、新鮮だと臭みもなく美味いです。

猟で使う銃弾にも、まだまだ鉛が使用されているようです。撃たれた動物の肉は汚染されます。

 

鉛のなにが怖いのか?

体内に吸収された鉛は肝臓に蓄積。一度、蓄積されれば数年はそのままです。

赤ちゃんが鉛でできたオモチャを誤って食べてしまい、鉛中毒で死亡した事故もありました。

 

鉛中毒の症状:

睡眠不足、便秘、疲労感、頭痛、精神異常、嘔吐、成長阻害

身体の痛みが止まらず、眠れないことも。

重症の場合は、死にいたります。

 

製造している人にも、鉛中毒の健康被害はあるでしょう。

鉛以外では、亜鉛やカドミウムも有害。

というよりも身の回りにないものとか、聞きなれないものはだいたい危ないもの。

 

美しい鉛入りの古い陶磁器と鉛ガラス

危険な100均の食器

鉛を使ったものは美しくなります。

そのため昔の陶磁器には、フツウに鉛が使われていました。

鑑定されるような古い陶磁器の上絵付け絵具は、だいたい鉛入り。それから、釉薬自体が鉛入りの場合も。

 

現代では、古い陶磁器の美しく深みのある色をなかなか出せないなどとよくいわれています。

もちろん、当時の職人のウデが良かったからともいえるでしょう。

けれども、科学の発達した現代の私たちから見れば、昔は相当ヤバイ物質が使われていたのも事実です。

現代ほど、環境を大事にするという考えはなかったのでしょう。

 

 

あっという間に焼き上がる抹茶碗の楽焼

緑や黄色、青とカラフルな上絵付けの九谷焼

あとは、ラクダ人形の唐三彩も鉛が使われています

 

陶磁器以外では、鉛ガラスとか。

有名なバカラのクリスタルグラスも鉛が含まれています。

(鉛が溶け出さないようになっているみたいですが)

昔は、鉛ガラス製品でワインを飲むのが流行だったとか……。有名だから、テレビでもてはやされてますね。

 

使う人だけではなく、作る人にも被害はありました。

陶磁器も、ガラスも歴史が長いので鉛中毒に苦しんだ職人もたくさんいたんでしょうね。

 

日本各地のお寺に、ギラギラ輝く大仏を作るときも同じです。

大仏の表面に塗るメッキ作業のため、水銀の有毒ガスが発生。

大きな大仏になると、水銀が数十トンも使われていました。



 

危険な食器から身を守る方法

危険な100均の食器

陶工房手嶋では、鉛は使用していません。安全な陶器を提供するためです。

キレイな色が簡単に出せるからといって、危険性の高い金属は使いたくないですね。

焼く温度も、1230℃以上の高温で24時間ほど時間をかけて焼いています。

釉薬は、市販されている完成された釉薬を使っていません。原料を買って、わたしが調合しています。

 

上絵付けもしていません。

無鉛の絵具も新しく売っていますが、有鉛の絵具もまだまだ使われています

正体不明な器を使用するのは控えたほうがいいでしょう。

 

危険な食器を見分けるために、ここをチェック!

・食器がどこで作られているのか表示

・食器を作った人の名前

・食器の原材料

・食器を焼いた温度

・価格

 

食器がどこで作られているのか表示

日本製か、海外製かをチェックしましょう。

直接、窯元で買うと詳しく教えてもらえるかも。

古い陶磁器だと、わからないことが多いです。

 

骨董品が好きなのは結構なことです。しかし、眺めるだけでなく実際に使うのなら中身のことも知るべきです。

不安なら使わないように。

 

食器を作った人の名前

誰が作ったのかわからないような食器を使うのは、不安でしかありません。

住所と名前、連絡先は知りたいものです。

これがわからないと、不良品だった場合に苦情を入れられません!

 

食器の原材料

一番チェックしたいのは、含まれている金属です。

初心者が、パッとひと目で見分ける方法もあります。それは、食器が派手な色をしているかどうか。ピンクとか鮮やかな黄色とか、私じゃどうやっても出せません。

カラフルな色は、金属の反応した色です。

 

金属と色の関係ですが、花火の色をイメージするとわかりやすいかもしれません。

わたしが使っている織部の緑色は銅です。ただ、弱点もあって酸の強い食べ物の入れっぱなしには向きません。

茶色や黒色系は鉄とかマンガン。白色は、石と灰のみで、金属無しです。

 

カラフルで派手な色の食器は人気ですが、健康にいいのかどうか考えてもらいたいものです。

お菓子に例えると、海外の目が痛くなるような原色のケーキとか、原料が気になります。たいていは、発ガン物質といわれている合成着色料。

有名な陶芸人気作家だから、安全な物質を使っているとは限りません。(むしろそんなことは気にしてないような気さえします)

 

陶芸材料だと、鉛白とか白玉、唐の土を含みます。

陶芸教室で「釉薬は何百種類もありまーす!」と宣伝している所もあるようですが、原料が気になります。

また、失敗しにくく調整してある釉薬は、キレイに見えますがベタッとしていて安っぽい雰囲気になりがち。安いものは色がおかしい。

 

食器を焼いた温度

いつもの本焼きで1230℃、土鍋を焼く温度は1200℃くらい。素焼きだと800℃ですね。

これくらいの温度なら危険性は少なくなります。

鉛入り釉薬だと、もっと低い温度で焼けるのでしょう。

 

作った人から聞かないとわからない情報です。

 

「中古でもないのに、100円はさすがにおかしいでしょ!」

「あなたが商売をするとして、ひとつ100円で売って儲けることができますか?」と考えれば騙されません。

安すぎる食器は避けましょう。怪しすぎます。

 

わたしは、100円ショップの食器は買ったことがありません。

いいものは、それなりにお金がかかります。

見た目、機能性、そして後から一番問題になる健康や安全性のいいモノ。

 

大昔の食器の話ではありません。現代、お店で普通に売られている食器の話です。

100均ショップの食器と書いていますが、500円ならいいのかという問題ではありません。

お金をとるか、健康をとるかですね。

 

陶芸教室の釉薬は安全か?

全国にある陶芸教室。

そこで、市販されている釉薬をそのまま使っているのなら、鉛が含まれていないか確認しましょう

使っている人なら知っているはずです。

ちなみに業者さんへ市販の釉薬の原料を尋ねたところ、教えてくれませんでした。企業秘密だからでしょうか。

 

また、鉛が入っていないとしても埃っぽい部屋は危険です。粘土のある部屋は、とにかくホコリっぽい。

あなたのまわりに、いつも咳き込んでいる人はいませんか? もしかしたら、粘土や釉薬の粉じんが原因かも。

粉じんのせいで、耳や鼻にゴミがたまるくらいはまだマシです。鼻毛の伸びるスピードが、ひとよりも少々速いくらい。

 

粉じんは、を犯します。

でもマスクをしている陶芸家はあまり見かけませんね。

しかし、著名な陶芸家が肺の疾患で亡くなっている話は有名です。かつて人間国宝だった方も含めます。

 

粉じんを防ぐためには、マスクも有効ですが工房の定期的な掃除が必要です。

ウチでは粘土用に改造した掃除機を使っています。

埃のスゴイ陶芸教室散らかりすぎている陶芸教室は避けたほうが安全です。キレイに掃除したとしても、ホコリは2〜3日で元通りになってしまいます。

 

 

陶芸教室で自分の器を自分で作って安全に使う

陶芸教室のススメです。ただの宣伝になりますが、おすすめしたいです。

食の安全と健康は自分で守りましょう。

 

テレビ番組でもよく取り上げられている100均ショップ。安さばかり主張してる。

食器は買いませんが、それ以外ではよく利用します。

すべての安価な食器が有鉛ではありませんが、用心はするべきです。

 

健康な食事をするはずの食器で、健康を損なうことがないように願います。

また、陶芸に詳しくなれば何も表示がなくてもパッと食器を見ただけで、なんとなくわかるようになります。

この食器は安そうとか、こっちはマズイをしているとか。あとは、形やデザインを見て判断したり。

 

昔は、お中元やお歳暮でよく陶磁器を贈り物にしていたものです。ウチも繊細なデザインの上絵付け食器を頂いた経験があります。

健康にすぐ影響が出るわけではないんですが、知っている人は、知っている知識の紹介でした。

身近にある怖い話になりましたが、対策をしっかりとすれば安心です。

 

陶磁器といえば金継ぎ。

金継ぎについて、やり方を調べてみると本漆は取扱いが大変そう。さわるとかぶれたり。

そこで、手軽に使えてかぶれないウルシが売ってるんですが……。

金継ぎに便利な合成ウルシも鉛入りでした。釣具屋さんに売ってるやつ。

 

あなたは100円ショップでなんでも済まして自己肯定感を下げてはいないだろうか?

自己肯定感はありのままの自分を肯定すること。

安いからという理由でモノを買ってしまうと自己肯定感が下がります。

安いから買ったけれどすぐに不要になった経験はありませんか?

 

なにかを手に入れたくなったら「目についたものが安いからとりあえず買っておこう」ではなく

本当に欲しいから、好きだから買う。値段の高さ、流行、人気に左右されずによく考えて選びましょう。

一般的に考えると所詮100円で買ったものなんて100円以上の価値はありません。

 

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