織部釉の調合、銅について紹介します。
「銅」といえばなにをイメージしますか?
有名なものではオリンピックの銅メダルが挙げられます。
また、レバー・魚介類・ナッツなどの身近な食品。
10円玉・電線・やかん・なべ。5円玉も銅です。
大きなものではお寺や神社の屋根、奈良の大仏、自由の女神。
銅は酸化すると緑色の緑青に変わります。
新品の10円玉を外に置きっぱなしにしていると、キレイな光沢がなくなりカサカサした緑色になります。
見た目はカビっぽいです。
外に置きっぱなしの銅像も酸化して緑色ですね。
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本当は安全な緑青
ろくしょうです。古い仏壇があるんですが、一部緑色になっています。
昔は緑青が危険だといわれていましたが、今は安全だと認められています。
危険だった理由ですが、銅に混ざっていたヒ素のせいです。
ただ、銅に限らず細かい金属の粉末を吸い込むのは健康によくありません。
取扱う際はマスクが必要です。
銅製品のメリット
強い殺菌効果。
熱の伝わりが早い。
見た目の美しさ。
色の変化。永く使われているものは好まれますね。
銅のポットにお湯を入れて、コーヒーポットとして使っています。
残ったお湯を捨てようと、ポットのフタをつかんだときのことです。
あまりの熱さにフタを投げとばしてしまいました。
これは銅の高い熱伝導のためです。
また、銅の調理器具を使うときは酸性の食品に注意が必要です!
銅の成分が溶け出すおそれがあります。
陶芸で使う銅と織部釉の調合例
陶芸では釉(うわぐすり)に銅を使います。
よく使うものは酸化銅です。
木の灰と長石を半分くらい、それに酸化銅を5%ほど加えると緑色の釉薬ができます。
有名な織部の釉薬です。
銅を入れない場合は、透明や白になります。
(織部=緑ではありません。織部黒、黒織部、赤織部、鳴海織部、弥七田織部、志野織部とかいろいろあります。)
土灰50:平津長石50 酸化銅5% そこそこ流れます。
土灰95:平津長石5 炭酸銅8%とか めちゃくちゃ流れます。黄瀬戸にのせて使います。
土灰30:長石70 銅5% パッと見できれいな緑、安定しているけれど面白味はない。
灰、長石の組み合わせはご自由に、鉄を入れて茶色を混ぜることもできます。
流れやすい熱に弱い釉は道具土が必須。でないと棚板が悲惨なことに!!!!
私は20時間程かけて最高温度1230度以上で焼いています。
高温で焼くので、釉はガラスのようです。
普通に使っても金属が溶け出すことはありません。
ガラス化しているため鉄瓶や銅やかんと違い、お茶の味が変わることもないでしょう。
注意が必要なのは酢の入った食べ物です。酢の物、お漬物。
緑色をキレイにするために酸性の希塩酸などを使っています。
酸性の食べ物で緑色の表面が剥がれるおそれがあります。
高価な銅
銅製品は高いです。
薄い銅板と鉄を比べても倍くらいの価格差で販売されています。
単純に原材料が高いことも原因です。
きらびやかな金、パラジウムに比べれば安い方ですが、大量に釉薬を作るとなると高くつきます。
金銀のキラキラした派手な陶磁器は、原価の時点で高いです。
ウチでは無理ですが陶芸教室では、金銀彩ができるところもあります。
(金液や銀液ですが、撥水剤よりも強烈な溶剤のニオイを放ちます)
ぜひトライしてみて下さい!
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