道具土とは、作品を支える土台になる粘土のことです。
目土ともいいますね。作品の底に釉薬を残したい場合に便利。
耐火度が非常に高く、湿っている状態で窯にいれても焼けます。
また、海で拾うことができる貝殻も同じように使えますのでやってみましょう。
童仙房という粘土を使った土台、貝殻を使った土台。
それから、特にガス窯で熱量をみるために使うゼーゲルコーンの土台の作り方を紹介します。
道具土で土台を作る方法
電気窯やガス窯では、素焼きをしたあとに釉薬を掛けて本焼きするのが基本です。
けれども、ここで気をつけないと作品の釉薬と棚板がくっつきます。
棚板はカーボランダムでできています。表面はアルミナ。
棚板にくっついた釉薬を剥がすのはとても大変。
修理の時間もけっこうかかります。
新品の棚板は高額。一枚、5,000円ほど。
流れやすい釉薬を使う場合は、保険のためにも道具土をつかいましょう。
熱に弱い釉薬は、金属入りのもの。
例えば飴釉、織部釉、灰の多い釉薬など。
わたしは、童仙房という粉末の粘土をよくつかっています。
わりと安いので袋で買います。細目のタイプ。
童仙房は粉末の状態なので、水を足してひたすら練ります。
ボウルに童仙房をいれて、すこしずつ水を足して練りましょう。
なんとなくまとまってきたら、作業台にだして普通の粘土のように荒練りと菊練り。
童仙房を練っていると、だんだん粘りがでてきます。
普通に粘土にまぜても使えますので、ある程度の量をつくっておくと便利。手にベタベタくっつきます。
マグカップ1個分の土台をつくります。
適当に30gくらいとってのばします。
のばし棒で丸くたいらに。
うすくなると破けます。うらおもてに返しながら伸ばしましょう。
センベイですね。
豆粒をつくります。あまりに小さすぎると作品の重さでつぶれてしまうので、小豆くらいにしました。
個数は奇数で。
小さければ3個とか5個。広いお皿であればたくさんくっつけましょう。豆粒じゃなくてドーナツ型でも使えます。
童仙房をさわった手で作品をつかむと、表面にベタッとくっつきます。
きたなくなるので、ぬれタオルで手を拭きながら。
くっつけるときは水でもいいんですが、よりくっつきやすいツバでやってます。
口の中がじゃりじゃりですね。ぺっぺと吐いて、うがいしつつ張り付け。
窯の中の棚板に置くときは、こんな状態です。数ミリ浮いてますね。
底にセンベイはなくてもいいです。お好みでどうぞ。
流れやすい釉薬が棚板までながれると右の花瓶のようになります。
ジスクグラインダーやリューター、砥石、やすりで仕上げましょう。
焼いた後の道具土を無理やり手で外そうとすると、本体ごとえぐれます!
貝殻で土台を作る方法
貝殻を土台にすればオレンジの緋色がでます。
いい景色ですね。うすく銅を塗ってもおなじようになります。
貝殻の種類はおそらく赤貝です。似たような二枚貝ならなんでも使えそう。
近くの浜で、てきとうに拾ってきました。3cmくらいがつかいやすい。
最近はメルカリとかで売ってますね。
貝殻に先ほどの童仙房をつめました。
器の高台がおさまるくらいに貝殻を配置。
カタつきがないように確認しましょう。
焼いた後の貝殻。
なかにつめた童仙房はオレンジ色に。
貝殻は、指でバラバラに砕けます。水で溶けます。
このオレンジ童仙房、本焼きで再利用して支えにしたら溶けて作品にくっつきました。使えません。
次は、器を重ねて焼く場合です。
さっきとはウラオモテ逆に貝殻をくっつけます。
個数は奇数で。
くっつく部分は、あらかじめ釉薬を剥がしておくと安全です。
今回は、器の底に貝殻を敷いていますが、ねかせて横に置いてわざと跡を見せてもいいでしょう。
道具土でゼーゲルコーンの土台を作る
ガス窯で焼くときはゼーゲルコーンで熱量を確認します。
ゼーゲルコーンは温度計ではわからない熱量を測る道具です。
温度計だけでは窯の内部の温度がわかっても、作品に与えられた熱量はわかりません。
ゼーゲルコーンの土台は道具土で作りましょう。
童仙房で土台をつくってゼーゲルコーンをさしこみます。角度はだいたい80度くらい。
童仙房の量はてきとうです。
土台があまりにペラペラだとゼーゲルコーンが倒れます。
ゼーゲルコーンをさしこんだら、土を盛り上げて補強してあげましょう。
焼成とちゅうで倒れないように念入りに!
焼成したらグニャーッと曲がります。先が水平よりも下がったらOK。
ガス窯の内部の温度は意外とバラバラです。ムラがあります。
窯を買ったら、いろんなところにゼーゲルコーンを設置して温度差をチェックするのもいいでしょう。
いつもは、一番下の棚板にゼーゲルコーンSKー7(1230度)を置いています。窯の底が一番温度が低いからです。
1200度を超えてしばらくしてからチェックしています。
また、温度計では1230度にならなくてもそのまま時間をかければSK-7は倒れます。温度計よりもゼーゲルコーンが優先。
必要以上にガス圧を増やす必要はありません。釉薬が予想以上に流れてしまいます。