陶芸体験の得と損について書きます。まず、あなたは陶芸体験をやったことがありますか?
ある場合は、陶芸体験で手に入れた作品を今も使っていますか?
「えーっ、どこにいったかわからない」「食器棚の中にいれっぱな」「くっそ重くて捨てた」「作品割れたからもらってない」など心当たりがあったら確実に損してますよ。
ない場合は、将来陶芸体験をやったあとに損をした気分になる可能性があるということを頭において読み進めてください。
陶芸体験の体験だけど後で作品がほしい
陶芸体験が粘土で形作るだけの造形のみの体験だったら、あなたは利用したいと思うでしょうか。
おそらく、作品がほしいと考えるでしょう。むしろそれが目的。
完成する作品は世界にたったひとつだけの陶芸作品! 芸術作品らしいものでも結構です、みんな個性が出て非常にすばらしい!
一般的な器の場合は、湯飲みとかお茶碗にマグカップ。それから、お皿や鉢でしょうか。
花瓶や灰皿、箸立てに置物では猫とか犬などの動物や表札。よくあるのが箸置き。
作っているときは完成したらどうなるかワクワクしますね。
作っているときは楽しい、実際に使えたらもっと楽しくなります。楽しく使っている未来を想像するのがモノづくりではとても大切。
陶芸でうまく作るコツは何に使うのか目的をハッキリと考えてから作ることですね。
なかなか陶芸初心者には無理な注文ですけど……。
場所や料金、口コミも大事ですが作れる作品の大きさや個数は確認しておきましょう。
異様に安い体験は絵付けのみです。もしくは団体割引適用時とか。
陶芸体験でせっかく作ったわたしの陶芸作品がぁーっ割れていた!
せっかく作った陶芸作品は絶対にほしい!
ですけど、陶器って……完成するまで、意外と割れるんですよね。
しかもけっこう高い確率で。
使うのに支障のないヒビの入る確率は高いです。特にパーツをくっつけた境い目。
例えばマグカップの取っ手ですね。それから人形の手とか足とか、角に尻尾、羽。
とにかく、くっつけたもの全部危ない!
細かいヒビくらいであんまり神経質にならないことが大事ですけどね。
見えづらいくらいに細かいヒビである貫入は、めいっぱい入ります。
焼きあがってから1ヶ月過ぎても「ピンッ」って鳴きながら割れます。陶器はだいたいこんなもんです。普通です。
電動ロクロで作った陶芸作品は使うのに支障がでるほど割れやすい
陶芸体験といえば電動ロクロですね! 手びねりの10倍むずかしい!
テレビで芸能人がロクロ回してるのをたまに見かけることもあります。
あとはCMとかね。
ペダルを踏むだけで勢いよく回転するから、ひとがやってるのを見るだけでも面白ーい。
でも割れます。
ちゃんと割れる原因があります。
それは、水を多く使うから! でも、陶芸初心者は水の量の加減がわかりません。
仕方ありません、とっても難しいんです。
水が切れたら、作品ねじれてぐちゃっとなって、ちぎれて飛んでいってしまいますからね。しょうがないね。
なぜ、水が多いといけないのか。
それは、粘土がどんどん水を吸って緩んでいくからです。
水を吸い込んで、ぶわぶわになったスポンジをイメージすればわかりやすいですね。
粘土はもともとガッチリと締まった状態です。この状態で作るのが理想。
だから手びねりの方が失敗しない! しかも、しっかりと全面を指で押している!
それで割れることが少ないんです!
まだ原因はあります。
それは底をガッチリと押していないから。器の底になる部分を押して締めていないからです。
この底が一番割れやすい。
割れやすいと説明していますが作ってすぐの器の状態を見てもよくわかりません。
パっと見、よくできているように錯覚しますね。
しかし、乾燥すると底にS字にヒビが入ることがあります。こうなると修正できません。ガチガチに乾いた粘土は壊して再生させるだけです。
一応言っておきますがプロが作ったものは別です。詳しい人ならちゃんと割れないやり方でやっています。
上から横からけっこう締めていますね。
陶芸体験作品が手元に届くまでに割れてしまったときの対応は?
陶工房手嶋の陶芸体験では、この場合わたしが作り直してお渡しします。もしくは代わりの品をお渡し。
「残念ですが作品が割れたから、あなたはなんにももらえませーん」なんてことはありえません。
ただ、陶芸教室でお客さまの作品が破損したときの対応はどうなるのか明記しているところばかりではありません。
事前に問い合わせておきましょう。そうしないと損をすることになるかも。
送られてきた場合の破損は宅配業者さんへ問い合わせましょう。
補償ありの場合もあります。
せっかく作った陶芸作品が重いんですけど
陶芸体験のあと、しばらくしたら工房から連絡があったり送られてくる陶器。
ハッキリいって作ったこと自体忘れていた方もいるでしょうね。
お待たせしてスイマセン、焼くまでに時間がかかります。
お受取りの器は本当に使いやすいですか? 毎日使いたいような使い心地のよい器ですか?
手や口にトゲが刺さって気になる箇所があれば、工房の方のヤスリ掛けが甘いのでは?
この時点でヒビとか割れを発見したら工房に文句いいましょうね。
陶器は、ぶ厚ければズシリと重く、薄っぺらならフワッと軽いもの。
でも、大事なことは単純な重さだけじゃなくて全体の厚みのバランスです。
理想は全部同じくらいの厚さの器。というか厚みに差がありすぎると割れます。
手びねりなら5mmくらい厚さを目指しましょう。電動ロクロやタタラ作りならもっと薄くできます。
どうしても分厚くなってしまったら、先生に削ってもらいましょう。外側の形を崩したくない場合は、中をくりぬくように削ってもらいましょう。
ただ「そんな指定はできません」と返される可能性もあります。そんなときは「ふーんこういう陶芸教室もあるんだケチくさ!」ということで、キッパリとあきらめましょう。しょうがないですね。
湯飲みの直径が太くて片手で持ちにくいよ
一般の人の手のひらサイズはだいたい同じです。
片手でつかむ湯飲みやコップ、太いと落っことしそうになりますね。危ない。
理想の最大幅は完成品で7cmです。粘土が乾燥すると1割縮むと考えて、作った時点の直径を8cmくらいまでにしましょう。
といっても、手びねりで伸ばせばどんどん広がっていく作品の口の幅。
陶芸体験で先生が目の前にいるなら内側に縮めてもらいましょうね。頼めばたぶんできます。
あきらめて広がったままの作品を焼くと、使いにくくなるのは間違いありません。後で損します。
欲しい形の作品を作りましょう。
本当は背の高いマグカップがほしいのに、出来上がってしまった小鉢で妥協してはいけません。
遠慮なくやり直しか手直しを要求しましょう。
ただし、練習やり放題でもぶっ続けで作品3つくらいやるとヘトヘトに疲れ果ててしまいます。
他の解決方法は、取っ手を付けてもらうことです。マグカップ、コーヒーカップにアレンジします。
取っ手つけとか手直しは別料金とかあるんでしょうかね?
口当たりがちょっと……飲み口がなんか飲みにくい器
焼きあがってから、やっと手に入れた器。さっそく使ってみると、なんか飲みにくい……。
それは口の形のせいです。
器で、飲みやすく使いやすい口を作るのはとても重要なポイントです。
単純にぶ厚いと使いにくい。
それから、器の口の形が唇に合っていないと口当たりは悪いです。
簡単に説明すると、口の断面が丸みのある三角形です。向きはまっすぐ天でも、少し外向きでもいいでしょう。
ここも上と同じです。遠慮なく先生に手直しを要求しましょう。
「とっても使いやすい最高の口にして下さい」と。
個性を大切にするらしいほったらかしの陶芸教室
すべてお客様がひとりで作りきるのが大切と主張する、ほったらかしの陶芸教室もあるかもしれません。
スゴイですね!
でも、いいものが欲しいあなたは確実に損することになります。
ですが、使いにくいもの作品を何年も長期間大事に使い続ける気合があるのなら止めはしません。
自分というものを貫いてアーティストになる方もたくさんおられます。
ただ、いいものが手軽に欲しいなら買った方が早いですけどね。
陶芸で有名な産地へトラベルしなくっても、使いやすいいいものはけっこう身近に存在しています。(あまりに安すぎるものはお勧めしませんが)
作品が売れたら、買ってくれた方に感謝ですね。うれしいです。
ウチの作品を購入していただいたあなた様へ、ありがとうございました!
いろいろ好き勝手に書きましたが陶芸教室、工房のルールはそれぞれ違います。
お客様のありがたいご要望がすべて通るわけではありませんけど、事前の確認はとっても大切です。
あなたが陶芸体験を利用してもっと、得をされることを願います。